まんなか

こころの真ん中に届くこと、書きたい。

波と私

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私はそこそこ海に近い場所で生まれ育った。電車の最寄り駅からは道路を挟んで向こう側に海が広がっていた。

自宅は高台にあったが、風向きにより潮の香りがした。

そのせいか、山よりは海の方が親しみを感じる。また、山と海に囲まれた街だったので、平野部が苦手だ。

 

わたしは出産経験があるが、陣痛は波だと思う。痛い最中はそんなこと思いもしなかったが、今になって振り返ると、あれはまさに波だった。強い痛みは強い波。引いた時にほっと一息つき、また次の波に備える。波の間隔が規則正しく狭まってきて、津波のごとく有無を言わせぬ圧倒的な力となり、出産に至る。

 

他にも波に例えられることはいくらもある。愛し合う時の快感も波だし、自分の体調や気分もまた波だ。わたしの中に海があるのではと思う時もある。こっぱずかしいので言わないけれど。

 

羊水の中で育ち、この世に生まれ出て、いろんなめにあい、波を乗り越えたり波を起こしたりして、やがて歳をとり死ぬ。

できることならば、ほがらかに、自分のうちそとの波と付き合って、死にたい。

そう思う。