*画像はお借りしたものです
映画の感想です。以下、ネタバレ含みます。
先日、家族と家で映画を観ました。「リトル・ミス・サンシャイン」です。
ホームコメディ、というのかな。笑いながら、ホロっとする、後味の良い作品。気軽に楽しめるのではと思います。
それぞれの人物造形がデフォルメ気味ではありますが、リアルでちゃんとしているので、なぜその人がそういう言動に出るのか、が取ってつけたようではなく、裏打ちされていて、頷けます。そして、一人一人の思いがすっと心に入ってきます。
ステレオタイプな人々もたくさん出てくるし、軽いタッチで描かれていますが、リアルさを失わないよう、慎重に丁寧に作られた作品だと思います。
映画の中で、久しぶりに聞いた言葉があります。「勝ち組、負け組」「負け犬」です。
わたしは流行した当時から好きな言葉ではなくて、避けてきたので、余計に久しぶりに感じたのかもしれません。
以下、簡単なあらすじです。
女好きのヤク中で下品などうしようもない父と、自己啓発本の出版で成功しようとする生真面目な息子。
息子は「人生の勝ち組になるためにはどうすれば良いか?」ということを家族に常に啓蒙し続けます。家族はうんざりし、なかでも孫の15歳の男の子はそんな父と生活を嫌い、自分の夢を叶えるまで誰とも口をきかないという誓いを立てて実行しています。
個性が強く、相容れず、ちぐはぐで危うい家族。そんな中、息子の妻は、鬱になり自殺未遂をした自分の兄を引き取って自分の家族と一緒に暮らせるようにします。また1人、個性的な家族が増えます。
映画の主人公は小学生の女の子。天真爛漫で子供が対象のミスコンテストに出場して優勝する夢を持っています。家族はそんな彼女を応援し、会場のカリフォルニアまで車で移動します。長い長いドライブです。
旅の途中で自己啓発本出版の話がおじゃんになり、夫婦喧嘩が始まります。遊び人の祖父と同室だった女の子は、夫婦とは別室におり、イヤホンをして祖父とダンスの練習中だったのでその喧嘩を聞かずにすむ(たぶん)のですが、夜眠る時さめざめと泣きだします。
どうしたのか?と祖父が尋ねると、女の子はこう答えます。
「わたしは負け犬になりたくない。だってお父さんは負け犬が嫌いだから。」
祖父はこう答えます。
「負け犬っていうのはな、負けるのが嫌で何にもしない、自分から動こうとしない人間のことだ。お前は違う。だからお前は負け犬じゃない。わたしはお前を愛しているよ。」
はっとしました。
わたしは、割と勝ち負けを気にする人間だからです。マイペースではありますが、失敗は怖いし、自分の得意なジャンルでは人に負けたくないという思いがあります。表向きは勝ち負けにはこだわらない、というように振舞っていますが、内心は気にしています。
いま、わたしは失敗が怖くて、諦めようとしていることがあります。というか、なんどもチャレンジして自分では努力してるつもりなんだけど成果を挙げられず、凹んでいるのです。(ダイエットの話ではありません)
立ち直って努力を始めなくちゃ、と思うのですがやる気が起きません。心のなかの炎が消えそうです。もう諦めてしまいなよ、ともう1人の自分が囁きます。
そんな時だから、映画の中のおじいちゃんの言葉が沁みました。
夫が買ってきた作品で、わたしはどんな映画かよく知らずに観たのです。
良いタイミングで観られてよかったなと思います。
人生諦めも必要だけど、それは、もう十分やり切って、自分で納得がいく選択でありたいです。わたしはまだまだ十分やったとは言えません。
また頑張ろう。やり直そう。
映画のおかげで、そういう気持ちになれました。
いやぁ、映画って本当に素晴らしいですね!
それでは、サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ…(故・淀川長治氏の有名な決め台詞)